ぼくの映画評のぼうよみ

映画の感想を書き散らしてるだけ。

リアル志向ワニ映画はサメ映画の向こうを張れるか~『ブラック・ウォーター』

マングローブ林の奥地でクルーズ中の金髪美少女ヒロインとその姉夫婦がクロコダイルに襲われ、ボートは転覆、ガイドは捕食されるという絶望的な状況下で脱出をはかる、ワニ版『オープン・ウォーター』を目指したと思しきオーストラリア産サバイバル映画。

実話が元でワニも実物のためか無茶な展開もド派手なアクションもえげつない捕食シーンもなく、ワニの襲撃も定石どおりのタイミングと、ワニ映画としてはとても地味。しかもほぼ水面下に潜んでいるので、見えない敵と対峙する恐怖がメインになっている。

それなりに緊張感は保っているが、話の筋自体が凡庸なのは残念。登場人物三人がそれぞれ身体的なハンデを負っている点(ヒロインは足のケガ、姉は妊娠中、義兄はメガネを失い目が見えない)を使ってもっと上手く盛り上げられなかったのか。姉貴(キャリー=アン・モス似)が妊娠していると告白したときに、ああ、これはお腹をバリバリ喰われて「赤ちゃんだけはやめて…」とか三毛別羆事件みたいな悪趣味描写があるんだろうなとワクワクしたのに…。

ワニが姿を現さない代わり、ずぶ濡れになって谷間を披露しながら泣きじゃくったり走ったり泳いだりしている可愛いヒロインを堪能できるのがせめてもの救い。初めこそ華奢で頼りなかったヒロインがたくましくなっていくのはサバイバル物の王道だが、本作ではワニに食い殺されたガイドの腕をもぎとってワニをおびき寄せるエサにしたり、最後はワニに噛まれながら口のなかに拳銃を突っ込んで射殺するというクロコダイルダンディーもビックリのワイルドさ。

リアル志向ワニ映画なのに最後だけぶっ飛んでいて笑ってしまう。

 

 

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