ぼくの映画評のぼうよみ

映画の感想を書き散らしてるだけ。

キルスティンは重力泥棒~『アップサイドダウン 重力の恋人』

正反対の重力が作用する双子の惑星を舞台に、貧困層が住む「下の世界」と富裕層が住む「上の世界」の男女の禁じられた恋を描くSFロマンス。

互いの世界の物質に長時間触れていると燃焼するなど大胆すぎる世界観のアイデアと、自然や都市、オフィスまでもが上下に広がる世界の不思議なビジュアルはとても魅力的だし斬新だが、設定が甘い。

上の世界出身のヒロイン、キルスティン・ダンストンが下の世界で主人公ジム・スタージェスとデートするシーン、どう考えても頭に血が上るだろうとか、ジムが上の世界から無造作に飛び降りて下の世界の水面に落下しても無事だったということは、上下の世界の往来は映画で描かれている以上に容易いはずで、世界観に説得力がなかったり、ジムたちの勤めるトランスワールド社も一流企業のはずなのに残業代出ないのかよ、とかツッコミどころ満載。

ラブストーリーまたはサスペンスとしても波乱に乏しく『ガタカ』の焼き直しのようにも見えるし、終盤もあっさりと平凡なハッピーエンドに着地するのは拍子抜け。ビジュアルは素晴らしいし、世界観のアイデアにもワクワクさせられるので、一見の価値はあるけれど。

しかし『スパイダーマン』といい本作といい、キルスティン・ダンストンは上下逆さまでキスするの好きだなあ。