ぼくの映画評のぼうよみ

映画の感想を書き散らしてるだけ。

萎縮不可避~『発情アニマル』

近年リメイク版のシリーズ(『アイ・スピット・オン・ユア・グレイブ』)が続々とリリースされている『発情アニマル』、この手のレイプリベンジ映画の元祖と謳われているので、興味本位に(不謹慎ながらエロ目的も含めて)鑑賞してみた。

小説執筆のため、田舎の湖畔の別荘を訪れた美人女性作家が、地元のDQNにレイプされて殺されかけ、その復讐のために立ち上がる、というシンプルなストーリーだが、いかにも劣情を煽る邦題と異なり、森や別荘でのレイプもことさら悲壮感を演出するでなく淡々として撮り(ヒロインは絶叫してるし、ボロボロになった事後は痛々しいが)、BGMもほぼなし、後半のヒロインの復讐劇も淡々と進行してカタルシスを感じさせない、過剰な演出を一切排したストイックな仕上がり。

40年近く前の作品ながら、ヒロインを演じるカミール・キートンはいま見ても充分美人でセクシーだが、上記したような作風のせいか、いまではもっとエログロな作品が溢れかえっているせいか、見ていてまったく興奮しない(あらゆる意味で)。

レイプ犯たちも冷血なサイコキラーではなく、ヤンキーや不良と呼ぶのもためらわれるレベルの、知恵遅れの臆病者や、粗暴だが妻子を愛するガソリンスタンド店員、低能ニートと、どこにでもいそうな田舎のDQNである点もリアル。

しかしリアリティを追求するならば、DQNたちのノーテンキっぷりはどうにかならなかったのか。自分たちが輪姦して殺そうとした女に誘惑されても警戒せずにホイホイついていくって、脳みそ精子しか入ってないんだろうなあ…。あとヒロインの死体や遺品の処理が杜撰すぎる。

ともあれエロ目的の下卑た興味で鑑賞した男(俺だ)を黙らせ、淡々と「強い女」を描き出すという、トラップのような映画であり、ヒロインであった。

 

 

発情アニマル アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ 1978 [DVD]

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