ぼくの映画評のぼうよみ

映画の感想を書き散らしてるだけ。

【ネタバレあり】巨乳なんかに釣られないクマー~『グリズリー・パーク』

軽犯罪を犯した8人の男女が更生のため、グリズリー・パークなる自然公園でゴミ拾いをすることになるが、そこはグリズリーや狼の棲む過酷な環境だった!さらには逃亡中の連続強姦殺人犯も紛れ込み…という、巨乳VSクマVS殺人鬼の三つ巴の戦いを描くB級サバイバル映画。

旧約聖書列王記にあるエリシャのハゲをDISった子どもたちがクマに食い殺されるエピソードで幕があけ、森のくまさんをBGMに不良たちが集合する序盤から期待が膨らみ、女性陣が概ね美人(どうでもいいけど男も全員イケメン)で別のところも膨らみそうになる。

天然巨乳の万引き犯(冤罪)、拳銃を隠し持つラテン系、ブランド狂の金髪売女、母に毒を盛った中国系にしか見えない日系女キキ・サトウと、女性陣は全員アリな容姿。男も警官偽装で捕まったお調子者、オツムの弱いガス中毒の白人至上主義者、未成年との窒息セックスを愉しむボンボン、老人ホームで窃盗・処方箋偽造を働いた情強黒人と多士済々。そこに公園の管理をする堅物おやじボブ隊員と、すぐ殺人鬼に殺される部下、不良たちの引率者を殺してなりすました殺人鬼の髭面デブが加わる。

男女とも修学旅行みたいなノリで異性の品評をしたり、着替えをのぞいたりと楽しそうだなお前ら。とくに男子の興味は天然の巨乳が本物か偽物かという点なのが、バカまる出しで好感が持てる。

しかし、役者も環境もそろってるし盛り上がりそうだなとワクワクしながら見続けるが、一向にクマが出てこない。

天然の失態でスカンクの屁まみれになった一行は滝壺で身体を洗うことになり、すわサービスショットか!と期待してたら(ちなみにこの映画、18禁です)全員下着姿でまず肩透かし。

そしてクマとは別の方面から不良たちをかき乱してくれるんだろうと期待していた殺人鬼が真っ先にクマにやられ(ナイフでクマに立ち向かったあげく顔から喰われるシーンはなかなか面白かったけど)、ラテン美女も隠し持っていた拳銃を使うことなく腸がはみ出たテケテケ状態にされて食い殺されたりと、前半は全然クマが出てこなかったのに、後半は伏線が回収されたり話が盛り上がる前に皆あっという間に殺されていって拍子抜け。設定がきちんといかしきれていない。キャストのわりにお色気成分も足りない。何より肝心のクマが登場頻度が少ないうえに、意外と小さくて迫力もないのが残念。

しかし、クマではなく狼に喰われる者、地元農家の罠にかかって宙づりのままクマに喰われる者、ラリってる最中にクマに襲われる者、クマの着ぐるみでふざけてたら後ろから本物のクマにアゴから上を吹き飛ばされる者、死ぬ前に天然の巨乳を揉みしだいて逝く者、悪魔的本性をあらわした天然にエサとして納屋に閉じ込められクマに襲われた者と、死に方が多彩なのは不幸中の幸いか。

生き延びたと思った天然巨乳がクマに胸を削がれ、生理食塩水プシャーなラストには爆笑。彼女の巨乳は本物か偽物か、結局確認できたのはクマだけだったというオチはブラックで好きかな。

しかし美女と連続強姦殺人犯というキャラがいて18禁なのに、結局映ったおっぱいは吹っ飛んだ天然のニセ乳だけ、という仕様はほんといい加減にしてほしい。

 

 

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萎縮不可避~『発情アニマル』

近年リメイク版のシリーズ(『アイ・スピット・オン・ユア・グレイブ』)が続々とリリースされている『発情アニマル』、この手のレイプリベンジ映画の元祖と謳われているので、興味本位に(不謹慎ながらエロ目的も含めて)鑑賞してみた。

小説執筆のため、田舎の湖畔の別荘を訪れた美人女性作家が、地元のDQNにレイプされて殺されかけ、その復讐のために立ち上がる、というシンプルなストーリーだが、いかにも劣情を煽る邦題と異なり、森や別荘でのレイプもことさら悲壮感を演出するでなく淡々として撮り(ヒロインは絶叫してるし、ボロボロになった事後は痛々しいが)、BGMもほぼなし、後半のヒロインの復讐劇も淡々と進行してカタルシスを感じさせない、過剰な演出を一切排したストイックな仕上がり。

40年近く前の作品ながら、ヒロインを演じるカミール・キートンはいま見ても充分美人でセクシーだが、上記したような作風のせいか、いまではもっとエログロな作品が溢れかえっているせいか、見ていてまったく興奮しない(あらゆる意味で)。

レイプ犯たちも冷血なサイコキラーではなく、ヤンキーや不良と呼ぶのもためらわれるレベルの、知恵遅れの臆病者や、粗暴だが妻子を愛するガソリンスタンド店員、低能ニートと、どこにでもいそうな田舎のDQNである点もリアル。

しかしリアリティを追求するならば、DQNたちのノーテンキっぷりはどうにかならなかったのか。自分たちが輪姦して殺そうとした女に誘惑されても警戒せずにホイホイついていくって、脳みそ精子しか入ってないんだろうなあ…。あとヒロインの死体や遺品の処理が杜撰すぎる。

ともあれエロ目的の下卑た興味で鑑賞した男(俺だ)を黙らせ、淡々と「強い女」を描き出すという、トラップのような映画であり、ヒロインであった。

 

 

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【ネタバレ】本郷奏多のロリータ女装と地雷撤去が見れるのは奴隷区だけ!~『奴隷区 僕と23人の奴隷』

僕は原作未読でマンガ版を途中まで読んでいる程度と、奴隷区にはたいして思い入れがあるわけではないが、マンガ版から漂う適度なエロと低俗さと安いサスペンスから、テレ東で深夜ドラマ化されるために生まれたような作品だな、と常々感じていたし、実写化も期待もしていた。

しかし連ドラではなく映画として実写化された本作は、登場人物が23人に及ぶ長編を100分の映画に収めるため、だいぶ内容を圧縮しており、秋元才加扮する荒川エイアと本郷奏多扮する大田ユウガを中心として物語が進み、その他の登場人物は数人の主人SCMキャラを除いてほとんど描き分けされないのが残念ではある。

原作やマンガ版を読んでいないと、なぜ登場人物たちが唐突にSCMにのめり込んでいくのか解らず、そのせいでキャラがさらにうすっぺらくなるし、物語も唐突に進んでおいてけぼりを食らうという一見殺しな仕様のうえ、SCM勝負での駆け引きや心理戦もあまり描かれないためサスペンス映画としても駄作という、一見まるでいいとこなしの作品だ(映像やセット、キャストなど全体的に安っぽいつくりなのはむしろ相応しいと思うが)。

ただ、主役2人はいきいきと描かれているので、彼らのファンならばそれなりに楽しめるだろう。

僕は秋元・本郷どちらのファンでもないが、スポーティでエネルギッシュ、勝気そうな秋元才加が勝負に敗れ、床をなめて掃除する屈辱的シーンにはちょっとだけ興奮したしロリータファッションで女装した本郷奏多くんにはさらに興奮した。女装姿そのものよりも、秋元に服を脱がされそうになって胸元をおさえるシーンを見て、何かに目覚めそうになった。

というか、ゴリゴリの文系男子である僕はあからさまに同類な本郷くんに感情移入して、体育会系女子秋元を屈服させたいけど、ダメ、やっぱり負けちゃう…みたいな展開に反応しちゃうんだろうな。ドMかよ。

 

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本郷くん、秋元才加より腕細くない…?

 

クライマックスの三つ巴の戦いで本郷くんはリュウオウチームに負けて、秋元がリュウオウチームを下したから結果的に彼女の奴隷になっているはずなのに、最後の最後で秋元に勝負を挑んでいたりと、設定が破綻している箇所も多々あるけど、役者を見ている分には退屈しない映画である。

何より奴隷落ちした本郷くんが最後はカンボジア(?)で地雷撤去のボランティアをするハメになる、というカイジよりブラックなオチには草を禁じ得ない。

自分への執着心で凝り固まった義弟を「世界を広く見てもらいたい」という理由で地雷原へ送り出す秋元才加。斎藤洋介や鳥居みゆきよりお前が一番畜生じゃねーか。

 

 

奴隷区 僕と23人の奴隷 [DVD]

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根本的に間違っている。~『シャーク・イン・ベニス』

水の都ヴェネチアを舞台に、ジャンプして岸辺の人間まで食い殺す躍動感あふれるホオジロザメと運河の潜水調査中に失踪した父を捜す海洋学者のカップル、ヴェネチアの地下に眠るというメディチ家の秘宝を狙うマフィア、そしてヴェネチア警察の三つ巴、四つ巴の戦いが繰り広げられるモンスターパニック映画。

個人的にはダヴィンチ・コードのヒットを見てサメ映画界が「よっしゃ、ワイもイタリアを舞台に歴史ミステリっぽい映画撮ったろ!」と欲をかいて企画した映画じゃないかと思っているが、運河の内部から続く地下迷路にはスイッチを踏むと壁から槍が飛び出す仕掛けなどベタなトラップが盛りだくさんで、ダヴィンチ・コードというよりは劣化版インディ・ジョーンズ風の仕上がり。

襲いくるサメ、マフィアに追われるアクション、迷宮の冒険、歴史のベールに包まれた秘宝、マフィアと警察の銃撃戦、そして風情あふれる水の都ヴェネチアと、ロマンを感じるギミックを無秩序に詰め込んだ感がすごい。そしてみごとにみんな中途半端。

肝心のサメの襲撃シーンは細切れなカットと水中に漂う血煙のせいで不明瞭だし、サメがクリアに映っているシーンはおそらく他からの流用映像だろう。しかもサメが迫ってくるシーンは同じ映像の繰り返しで、思わず漫☆画太郎かとツッコみたくなる。

人間同士のアクションシーンも全体的に地味でしみったれていて、マフィアのバイク乗りがムダにがんばってウィリーするシーンだけが悪目立ちする。

まあシナリオやアクションの安っぽさはどうでもよくて、そもそもこの映画が根本的に間違っているのは、メディチ家の拠点はヴェネチアではなくフィレンツェだということだ。

脚本の段階で誰もツッコまなかったのだろうか…。

メディチ家の兄弟が十字軍に参加してビザンツ帝国から略奪してきた財宝をヴェネチアに持ち帰った、という設定なので、ヴェネチアが十字軍の際にビザンツ帝国で略奪を働いた史実を踏まえているのだろう。それくらいの知識があるのなら間違いには気づいているはずだが、まあ、メディチ家が一番有名だしそれでいいじゃん!というノリなのだろう。これがラテンか。

 

 

シャーク・イン・ベニス [DVD]

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傭兵部隊対アマゾネスの学芸会アクション~『ウォー・オブ・ザ・ジャングル』

久しぶりに褒めるところのない映画を観てしまった…。

とりあえずアマゾンの内容紹介を載せておきます。

美しき野獣の戦いが始まる

アメリカ軍隊に所属しているイナラ。ある日、彼女は、かつて自分の亡くなった父親が所属していた特殊部隊≪アスガード≫に入隊する。
その部隊の任務は、ヴァルハラ島という島へ上陸し、その島の天然資源を確保すべく本隊を援護することであり、まさに秘密傭兵業務であった。
そして、アスガード軍による上陸作戦は決行されるが、島の上空でイナラの乗った輸送機が、島の電磁場の影響を受けジャングルへ墜落してしまう。
イナラは命こそ助かるが、その島に古くから潜んでいる女ばかりの謎のアマゾネス先住民に囚われてしまう。
敵でないと見なされたイナラは、先住民のとの奇妙な生活を共にする事になり、やがて驚愕の真実を知ることになる・・・。

普通なら、さて、ここからどうストーリーが転がっていくか…というところなのだが、この映画に関してはこれでほぼすべて。

71分の映画で大体1時間くらい費やして上記の内容紹介のストーリーを展開し、残る10分で女王の忘れ形見だと発覚したヒロインがアマゾネスを率いてアメリカの傭兵部隊に逆襲するというお話。ラストの両軍の決戦なんて緊張感のないアクションシーンを2、3分垂れ流して終了だよ!?

あとヒロインは元々米軍所属みたいに書いてるけどケンカが強いだけの一般人だし、アスガードも米軍の特殊部隊ではなく傭兵部隊ですから!

とにかく冒頭の父の死を悲しむヒロインを延々映すイメージビデオみたいなシーンや上官がヴァルハラ島で亡くなった戦友と会話するシーン、ヒロインが入隊前に友達の家に遊びに行くシーンなど、後の展開につながらないムダなシーンやムダなセリフが多く、冗長な展開で内容を水増ししている印象。トータル71分なのに「長ぇよ!」としびれをきらしてしまう。作品の前半はそんなムダシーンの連続で、ヒロインたちが島に上陸するのは40分を超えてから。

しかし待ちに待って登場したアマゾネスも、筋肉質やデブもいて大してセクシーじゃないし、そもそも期待していたポロリがない。ヒロインはまあまあ可愛いしスタイルも良いのだが、やはり露出は期待していたほど多くないし、キャットファイトにもキレがない。倒されたヒロインが起き上がる前に女豹のポーズをとって髪を振ってしなをつくっている間にアマゾネスに再度蹴り飛ばされるシーンだけは笑ったけど。

アクションシーンも少ないうえにキレがなくて、傭兵部隊もなぜかアマゾネス戦では銃を使わずマチェーテみたいな湾刀で戦ってるし、バカなの?電磁波のせいで電子機器が使えないという説明はあったけど、銃は電子機器じゃないし、18年前の侵攻時は拳銃を撃っていただろうと。

アクションにも編集にもしまりがなくて情報の取捨選択もできない、思い付いたシーンを無軌道に垂れ流し続ける71分が終わると、エンドロールでは香港映画のような和気あいあいとしたメイキング映像が流れ出し、ああこれは学芸会だったんだ…、と遠い目になる作品であった。

 

 

 

キルスティンは重力泥棒~『アップサイドダウン 重力の恋人』

正反対の重力が作用する双子の惑星を舞台に、貧困層が住む「下の世界」と富裕層が住む「上の世界」の男女の禁じられた恋を描くSFロマンス。

互いの世界の物質に長時間触れていると燃焼するなど大胆すぎる世界観のアイデアと、自然や都市、オフィスまでもが上下に広がる世界の不思議なビジュアルはとても魅力的だし斬新だが、設定が甘い。

上の世界出身のヒロイン、キルスティン・ダンストンが下の世界で主人公ジム・スタージェスとデートするシーン、どう考えても頭に血が上るだろうとか、ジムが上の世界から無造作に飛び降りて下の世界の水面に落下しても無事だったということは、上下の世界の往来は映画で描かれている以上に容易いはずで、世界観に説得力がなかったり、ジムたちの勤めるトランスワールド社も一流企業のはずなのに残業代出ないのかよ、とかツッコミどころ満載。

ラブストーリーまたはサスペンスとしても波乱に乏しく『ガタカ』の焼き直しのようにも見えるし、終盤もあっさりと平凡なハッピーエンドに着地するのは拍子抜け。ビジュアルは素晴らしいし、世界観のアイデアにもワクワクさせられるので、一見の価値はあるけれど。

しかし『スパイダーマン』といい本作といい、キルスティン・ダンストンは上下逆さまでキスするの好きだなあ。

 

 

 

リアル志向ワニ映画はサメ映画の向こうを張れるか~『ブラック・ウォーター』

マングローブ林の奥地でクルーズ中の金髪美少女ヒロインとその姉夫婦がクロコダイルに襲われ、ボートは転覆、ガイドは捕食されるという絶望的な状況下で脱出をはかる、ワニ版『オープン・ウォーター』を目指したと思しきオーストラリア産サバイバル映画。

実話が元でワニも実物のためか無茶な展開もド派手なアクションもえげつない捕食シーンもなく、ワニの襲撃も定石どおりのタイミングと、ワニ映画としてはとても地味。しかもほぼ水面下に潜んでいるので、見えない敵と対峙する恐怖がメインになっている。

それなりに緊張感は保っているが、話の筋自体が凡庸なのは残念。登場人物三人がそれぞれ身体的なハンデを負っている点(ヒロインは足のケガ、姉は妊娠中、義兄はメガネを失い目が見えない)を使ってもっと上手く盛り上げられなかったのか。姉貴(キャリー=アン・モス似)が妊娠していると告白したときに、ああ、これはお腹をバリバリ喰われて「赤ちゃんだけはやめて…」とか三毛別羆事件みたいな悪趣味描写があるんだろうなとワクワクしたのに…。

ワニが姿を現さない代わり、ずぶ濡れになって谷間を披露しながら泣きじゃくったり走ったり泳いだりしている可愛いヒロインを堪能できるのがせめてもの救い。初めこそ華奢で頼りなかったヒロインがたくましくなっていくのはサバイバル物の王道だが、本作ではワニに食い殺されたガイドの腕をもぎとってワニをおびき寄せるエサにしたり、最後はワニに噛まれながら口のなかに拳銃を突っ込んで射殺するというクロコダイルダンディーもビックリのワイルドさ。

リアル志向ワニ映画なのに最後だけぶっ飛んでいて笑ってしまう。

 

 

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